Shopifyストアを公開して半年から1年。注文が伸びないと、広告を増やして訪問者を集めるべきか、先にサイトを直すべきか判断に迷うものです。
最初に行いたいのは、施策を増やすことではなく、Shopify管理画面の数字を基準に売上を分けることです。単月の売上はセッション数、コンバージョン率、客単価の掛け算で捉え、継続的な売上にはリピート率も加えて考えます。そのうえで商品ページ、スマートフォンでの表示、見落としやすい設定、商品の状態を順に確認すると、手を入れる場所を絞り込めます。
この記事では、Shopifyストアの診断で白瑛が実際に見ているポイントを、確認する順番に沿って解説します。
Shopifyで売れないときに信じる管理画面の数字
ShopifyとGA4の数字が合わず、どちらを基準にすべきか迷う場合もあるでしょう。売れない原因を最初に切り分ける段階では、Shopify管理画面の数字を正として確認します。
Shopify管理画面の数字はサーバー側で処理される正確な数値です。一方、GA4はJavaScriptで計測しているため、計測がブロックされると推定値が入ることがあります。両者に差があるときは、施策の良し悪しを考える前に、この計測方法の違いを疑う必要があるでしょう。
GA4ではユーザー行動をより細かく見られますが、月商200万円未満の段階であれば、原因の切り分けはShopify管理画面で十分です。分析ツールを増やすより、まずは同じ数字を継続して見られる状態を整えることが先です。
数字を見る場所を固定すると、変更前後を同じ基準で比べられます。確認のたびにShopifyとGA4の都合のよい数字を選ぶのではなく、管理画面を出発点にすることで、次に見るべき項目もぶれにくくなるでしょう。
売上の分解式と原因の切り分け
単月の売上は、次の式に分けて考えます。
売上=セッション数×コンバージョン率×客単価
この式で分かるのは、今月訪れた方が購入した分です。継続的な売上には、一度購入した方が再び購入する割合であるリピート率も影響するため、動かせる数字は4つとして捉えます。
| 要素 | 確認すること | 次に見る場所 |
|---|---|---|
| セッション数 | そもそもストアに訪問が集まっているか | 集客施策と、商品が選ばれる理由 |
| コンバージョン率 | 訪問はあるのに購入へ進んでいないか | 商品ページ、表示速度、設定の見落とし |
| 客単価 | 注文は入るものの、売上が伸びにくい状態か | 商品構成と、選ばれている商品の内容 |
| リピート率 | 一度購入した方が再び購入しているか | 再購入の状況 |
現状の数字だけでなく、目標売上から必要な数字を逆算すると、どこに無理があるかを見つけやすくなります。必要な注文数は、新規のお客様からの注文と、一度購入した方からの再注文の合計です。次の式の空欄にストアの数字を当てはめます。
目標売上( 円)÷客単価( 円)=必要な注文数( 件)
必要な注文数( 件)=新規のお客様からの注文数( 件)+再注文数( 件)
必要な注文数( 件)-リピートで見込める再注文数( 件)=新規で必要な注文数( 件)
新規で必要な注文数( 件)÷コンバージョン率( %÷100)=必要なセッション数( 回)
コンバージョン率は、%表示の数字を100で割ってから計算に使います。リピートで見込める再注文数には、自店の過去の購入者数とリピート率から見込んだ件数を入れます。リピートが増えるほど新規で必要な注文数が少なくなり、必要なセッション数も減るため、集客だけで売上を作ろうとすると無理が生じやすくなります。
判断の主軸は、外部の平均ではなく、自店の数字の推移と目標からの逆算に置きます。先月や前年同月と比べて、セッション数、コンバージョン率、客単価、リピート率がどう動いたかを見るほうが、改善の影響や季節による変化を判断しやすいためです。
外部のベンチマークは、補助的な参考として確認します。LittledataがShopifyストア2,800件を対象に行った2023年の調査では、次の数値が示されています。
| 区分 | 平均 | 上位20% | 上位10% |
|---|---|---|---|
| 全体 | 1.4% | 3.2%以上 | 4.7%以上 |
| 食品・飲料 | 1.5% | 4.1%以上 | 6.2%以上 |
| ファッション | 1.9% | 4.3%以上 | 6.1%以上 |
デバイス別の全体平均は、モバイルが1.2%、デスクトップが1.9%です。ただし、これはLittledataによる2023年のShopifyストア調査のデータで、対象は海外のストアが中心です。日本のストアと直接比較できるものではなく、あくまで補助的な目安として扱います。
国内では、同種の調査で出所と母集団が明確なものは見当たりません。
たとえば、必要セッション数を集めるのが難しいなら、広告を増やすことだけが選択肢ではありません。コンバージョン率に課題があり、商品ページにも明らかな改善点がある状態で訪問だけを増やしても、購入につながらない要因は残ります。
反対に、ページや設定を細かく直し続けても、訪問そのものが少なければ判断材料は増えません。4つすべてへ同時に手を広げず、低さが目立つ数字と、早く改善できそうな数字を見比べ、最初に扱う課題を一つに決めることが大切です。
着手前には、選んだ数字と変更する場所を記録します。一つの課題に絞って変更し、再びShopify管理画面で同じ数字を見る流れにすれば、次の施策を続けるか、別の要素へ移るかを判断しやすくなるでしょう。
商品ページの確認箇所
コンバージョン率を見直すとき、白瑛が最初に確認するのは商品ページのメイン画像です。 商品画像は枚数を増やすこと自体が目的ではなく、購入を検討する方が知りたいことと、ストアへ実際に寄せられる質問への答えが伝わる構成にします。
確認の手順は次のとおりです。
- メイン画像だけで、何の商品かを把握できるかを見る
- 2枚目、3枚目以降で、商品の特徴・こだわりが伝わるかを見る
アパレルやジュエリーのように見た目を重視する商材では、画像に文字を入れない見せ方も合います。それ以外の商材では、2枚目、3枚目以降にこだわりのポイントを載せると、画像をめくる段階でも情報を届けられます。
商品ページの下部に詳しいLPがあっても、すべての方がそこまで読むとは限りません。画像スライドを数枚見たところで離脱する方もいるため、重要な情報をLPだけに置かないことがポイントです。
問い合わせ内容を商品ごとに整理すると、画像で補う情報と文章で説明する情報を分けやすくなります。実際の質問を基準にすれば、作り手のこだわりだけに偏らず、購入前の迷いに沿ったページを検討しやすいでしょう。
スマートフォンでの表示速度の確認
toC商材ではスマートフォンからの利用が多いため、表示速度は実際の端末で確認します。Wi-Fiを切り、4G回線で商品ページを開いて、画像の表示や画面操作にストレスを感じないかを見ます。
PageSpeed Insightsのスコアは参考材料ですが、高ければそれだけで問題がないとはいえません。スコアを上げること自体を目的にせず、どこに改善の余地があるかを知る材料として使います。
数値と体感が異なる場合も見られます。最終的には、購入を検討する方と同じスマートフォン環境で、商品を見てから購入へ進む流れをたどることが欠かせません。
トップページだけで判断せず、商品一覧から商品ページへ移り、画像を切り替えるところまで確認します。どの画面のどの操作で待ち時間を感じたかが分かれば、PageSpeed Insightsで改善方法を検討する際にも役立つでしょう。
ダブルオプトイン設定の見落とし
ページの見た目や広告だけでなく、管理画面の設定が販売活動を妨げていることも考えられます。
白瑛が実際に確認したストアでは、マーケティング設定のダブルオプトインがONのままで、配信リストが貯まっていませんでした。ダブルオプトインとは、メルマガ登録時に確認メールのクリックを求める方式です。管理画面の見た目だけでは気づきにくく、メールを送りたくても送る相手がいない状態になっていました。
ダブルオプトインがONの場合、登録時に確認メールが配信され、ユーザーが承認しなければ配信リストに入りません。ほとんどのユーザーは承認の手間から手続きを完了しないため、白瑛が実際に確認したストアでは、リスト取得率が約80%減少していました。
メルマガは、一度購入した方に再購入を促すリピーター施策の一つです。ダブルオプトインによってリスト取得率が著しく低くなると、配信できる相手そのものが減るため、設定の確認は欠かせません。
Shopify管理画面で、次の順に開きます。
設定 > 通知 > お客様への通知 > マーケティング
この画面で、ダブルオプトインがOFFになっていることを確かめます。商品ページを直す前に、こうした基本設定が意図した状態になっているかも一度点検しておきたいところです。
商品の確認と改善の優先順位
管理画面の数字だけで、改善策まで自動的に決まるわけではありません。同じコンバージョン率の課題でも、商品の伝え方に原因がある場合と、選択操作やファーストビューに改善の余地がある場合では、手を入れる場所が変わります。
数字で低い場所を特定したら、商品そのものとページでの見せ方も確認の対象です。そのうえで、購入を迷わせている点のうち、影響が大きく早く直せそうなものから優先順位をつけます。
白瑛が運用支援の中で行ったLP改修では、次の3点を改善しました。
- 色やサイズを選びやすいUIにする
- 選んだ色に応じて、色別のメイン画像が表示されるようにする
- ファーストビューでの離脱が多いと分かったため、その部分を改善する
この事例では、改修後にCVRが0.8%から1.4%へ変化しました。ただし、一つの支援事例であり、同じ改修による成果を保証するものではありません。ストアごとに数字と商品の状況を確認し、優先する課題を決める必要があります。
改善に着手するまでの確認順
注文が伸びないとき、最初から広告かサイト改善かの二択にする必要はありません。まずShopify管理画面の数字を正とし、単月の売上をセッション数、コンバージョン率、客単価に分け、継続的な売上にはリピート率も加えて考えます。
次に、低さが目立つ要素と早く改善できそうな要素を見定めます。商品ページのメイン画像、4G回線での表示、ダブルオプトインなどの設定、商品の状態まで順に確認すれば、先に広告を増やすべきか、サイトを直すべきかを判断しやすくなるでしょう。
自社だけでは改善の優先順位を決めにくい場合は、白瑛のShopify運用保守サービスをご覧ください。ストアの状況については、お問い合わせから相談できます。
